野菜、特に葉物野菜や芽物野菜は濡らした新聞紙などに包んでポリ袋に密封し、野菜室に入れると上手に保存できます。
低温、低酸素、高炭酸ガスの環境の中で野菜を休眠状態に導いて長持ち保存する作戦です。
収穫後の野菜はまだ生きています。
つまり呼吸を続けさらに生長しようとしています。
特にキャベツ、レタスに代表される葉菜類、
モヤシなどの芽野菜、
ブロッコリーに代表される花菜類などは、
(動物にたとえれば、手足に当たる部分をもぎとって野菜と称しているのですから)
とりわけ生長力が強く収穫後にいっきに呼吸量が増える傾向にあります。
従って収穫後も呼吸、生長を続ける野菜はそのまま放置すれば老化が進み、栄養分を失ってしまうだけでなく長持ちしなくなってしまいます。
野菜の呼吸を抑制し休眠状態にできれば鮮度を長持ちさせることができる訳ですが、そのためにはどうしたらよいのでしょうか?
答えは、野菜をポリエチレンの袋に入れて冷蔵庫の野菜室に保存すること。
野菜をポリ袋の中に入れ密封すると野菜は袋の中の酸素を吸収し、二酸化炭素を吐き出します。
すると、ポリ袋内は次第に低酸素、高炭酸ガス状態になっていきます。
しかも野菜室内の密閉された袋内の環境は蒸散した水分で高湿度、低温環境なので、野菜の呼吸は休眠に必要な最低限度量に抑えられ鮮度の低下を遅らせることができるというわけです。
過呼吸症候群の対処治療法に紙袋の中で深呼吸を繰り返すペーパーバック法というのがありますが、似たような原理ともいえます。
ここで大事なポイントがポリエチレンの袋を使うこと・・・
ビニール製やナイロン製の袋ではだめということです。
なぜなら、ビニール製やナイロン製の袋では袋の中の野菜がやがて窒息し、腐敗してしまうからです。
ポリエチレンフィルムは、水けはあまり透しませんが、気体透過性が高いという特性があり、ビニール袋やナイロン袋は気体を透過できません。
このため、ポリ袋内は次第に低酸素、高炭酸ガス状態に至っても、外部の酸素と内部の炭酸ガスが入れ替わって野菜が窒息することなく呼吸が可能です。
一方、ビニール袋やナイロン袋では、外部の酸素と内部の炭酸ガスが入れ替わりができませんから、最後は無酸素、全炭酸ガスの環境となって野菜は窒息死し、腐敗を始めてしまいます。
因みに、ナイロンにポリエチレンをラミネートしたナイロンポリ袋は真空パック保存によく利用されています。
野菜を殺して冷凍保存するこの保存方法では、好気性細菌、嫌気性細菌を問わず細菌などの活動を鈍らせて腐敗を防ぐ作戦なので、気体が透過できない方が都合が良いからです。
<一口メモ>
・ポリ袋のなかに息を吹き込んでおくと低酸素、高炭酸ガスの状態が良く保たれます。
・ポリ袋内の野菜は二酸化炭素などの炭酸ガスだけでなく、野菜の老化を早めるホルモン・エチレンを排出しています。
ポリ袋なら袋を透過して排出されますが、ナイロン袋だと窒息するのみならずエチレンも高濃度化するので反対に老化を促進してしまいます。